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副業禁止でも法人を持てる|業務執行しない社員で登記に名前が出ない仕組み
法人スキーム

副業禁止でも法人を持てる|業務執行しない社員で登記に名前が出ない仕組み

副業禁止サラリーマンが法人で不動産を持つ現実解。妻名義だけでは不十分で、私は『業務執行しない社員』として参画した。登記簿に名前が出ない仕組みと、司法書士・金融機関で確認したリアルを書きます。

副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目を持っている「さる」と申します。

副業禁止のサラリーマンが不動産投資を法人で進めるとき、よく言われる解が「妻名義の法人」です。私もそのスキームで2棟目を買いました。

ただ、ネット記事を読んでいて引っかかっていたのは、「妻を代表にすればOK」という説明の手前で止まっているものが多いことでした。実際に動かしてみると、妻を代表にするだけでは詰まる部分がいくつもあります。

そのなかでもいちばん大事なのが、自分(夫側)の立ち位置をどう設計するかでした。

今回は、私が実際に法人を作るときに、司法書士と詰めた「業務執行しない社員」という立ち位置の話を書きます。これがあるかないかで、副業禁止サラリーマンの法人スキームは安全度がまったく変わってきます。

結論:私は「業務執行しない社員」として登記簿に載っていない

先に結論を書いておきます。

私は妻名義の合同会社で**出資比率99%**の社員ですが、登記簿には私の名前は一切出ていません。表に出ているのは妻(代表社員)だけです。

これは隠しているわけでも、グレーな運用をしているわけでもありません。合同会社の制度上、業務執行をしない社員は登記事項にならない——この一点を司法書士と詰めて設計した結果です。

副業禁止のサラリーマンにとって、ここの設計はかなり重い意味を持ちます。

なぜ「妻名義だけ」では不十分なのか

ネット記事でよく見る「妻を代表にすれば副業禁止でもOK」という説明は、半分正しくて半分足りません。

足りないのは、自分(夫)が法人にどう関わるのかの整理です。

私の場合、

  • 出資のほぼ全額を出しているのは自分(夫)
  • 物件の意思決定もすべて自分が握っている
  • 妻には代表として顔を貸してもらうかたち

という設計にしたかった。家族のお金で家族のための物件を買うので、これは自然な設計です。

ところが、ここで普通に「自分も社員として参画する」と決めると、自分の名前が登記簿に載る可能性が出てきます。

合同会社では、原則として社員=業務執行社員です。社員になれば自動的に業務執行する立場になり、登記事項として法務局に名前が記録されます。

登記簿は、会社の登記情報を扱う公的な書類です。会社住所・代表者・出資者などが記録されていて、誰でも法務局で取得できる公開情報です(「妻名義法人の登記住所、結局どこにするか問題」で書いたとおり)。

つまり、自分の名前を登記簿から外しておかないと、本業の会社にバレるリスクが残るということです。

ここを甘く見ると、せっかく妻名義にしても意味が半減します。同僚や上司が興味本位で登記簿を取り寄せたとき、自分の名前が「○○合同会社の社員」として出てくる——これは副業禁止のサラリーマンにとって致命的です。

合同会社の社員には2種類ある

ここから少し制度の話になります。

合同会社の「社員」は、株式会社で言うところの「株主+役員」を兼ねたような立ち位置です。出資をして、原則として業務を執行します。

ただし、合同会社の制度には「業務執行をしない社員」という選択肢がちゃんと用意されています

ざっくり整理すると、

  • 業務執行社員:会社の業務を実際に動かす社員。登記事項。
  • 業務執行しない社員:出資はするが、業務には関わらない社員。登記事項ではない

ポイントは、定款で「業務執行社員は○○のみ」と明確に定めることで、その他の社員は自動的に「業務執行しない社員」となり、登記簿から名前が外れる——という設計ができることです。

これは合同会社の柔軟性のひとつで、株式会社にはない強みです。株式会社だと、出資者(株主)は登記事項ではない代わりに、役員になれば必ず登記される。合同会社は、出資はするが業務はしないという第三のポジションが取れる。

副業禁止のサラリーマンにとって、これは想像以上に効きます。

私のケース:定款でどう設計したか

私の合同会社は、設立時に定款をこう書きました(細部はぼかして要点だけ)。

  • 代表社員:妻
  • 業務執行社員:妻のみ
  • その他の社員:私(業務執行しない社員)
  • 出資比率:私99 / 妻1
  • 議決権:私99 / 妻1

「妻名義の合同会社で法人化した理由」で書いたとおり、議決権を私側に寄せたのは、夫婦間で意見が割れたときに法人が動かなくなるリスクを避けるためです。

そのうえで、業務執行は妻に一本化しました。これにより、

  • 登記簿に出るのは妻だけ(代表社員かつ唯一の業務執行社員)
  • 私は出資者として99%を保有しているが、登記事項にはならない
  • 議決権は私が99%握っているので、最終決定権は実質的に私側

という、表向きは妻の会社、裏では私が動かしているスキームが成立します。

これは合同会社の制度を素直に使っているだけで、何の脱法行為もありません。

司法書士に確認したこと

設立前、司法書士に対して私からはっきり言ったのは1つだけです。

私の名前を、登記簿から完全に外してほしい

理由は副業禁止だから、と正直に伝えました。

司法書士の反応は、想像していたよりもあっさりしていました。

「業務執行社員を奥様一人に絞る定款にすれば、出資されているだけのご主人は登記簿には載りません。よくあるご相談です」

よくある相談」というのが意外でした。私だけが特別なスキームを組んでいるのかと思っていたら、副業禁止サラリーマンが家族名義で法人を作るときの定石として、すでに型ができていたんです。

念のため、こんな質問もしました。

「あとで本業の会社が登記簿を取った場合、私の名前は本当に出ませんか?」

司法書士の回答は、

「登記簿に出るのは代表社員と業務執行社員だけです。出資情報自体は登記事項ではないので、奥様のお名前のみが見えます」

これで腹が決まって、設立を進めました。

銀行は「業務執行しない社員」をどう見るか

ここがいちばん不安だったポイントです。

業務執行しない社員という立ち位置にしても、銀行融資のときに『実態は誰が動かしているのか』を聞かれたら詰むのではないか——これが心配でした。

結論から書くと、法務局で謄本を確認した銀行は、登記上の代表者である妻を窓口として扱いました。私が同席して説明しても、銀行側は「奥様の事業に対する融資」として処理してくれた。

ただし、ここは事前にちゃんと整理しておくべきです。

私が信金で融資を受けたとき、担当者には以下のように伝えていました。

  • 法人の代表は妻
  • 出資の大半は私(夫)が出している
  • 物件運営の実務は二人で見ているが、対外的な意思決定は法人代表である妻が行う
  • 連帯保証は私(夫)が入る前提で構わない

「法人融資を5行8回断られて通った話」に書いたとおり、最終的に通った信金では連帯保証は私(夫)が入る形で落ち着きました。妻は代表社員ではあるものの、連帯保証には入っていません。融資の現場で「実態として誰が経営しているのか」を曖昧にしないことが、結果的にいちばん通りやすい形でした。

ここを隠そうとすると逆に話がややこしくなる。「登記上は妻名義、実務と保証は夫」と最初から明確に伝えるのが、いちばん健全な進め方でした。

副業禁止の会社にバレないか

副業禁止サラリーマンとして、ここはいちばん気になるところだと思います。

私の整理はこうです。

会社が登記簿を取り寄せた場合

  • 出てくるのは妻の名前と会社住所のみ
  • 私の名前は出ない
  • 「妻が事業をしている」状態として処理される

確定申告・住民税ルートからのバレ

  • 法人が私に給与を払っていなければ、私の住民税は変動しない
  • 私個人は、本業の給与所得しか個人で申告するものがない(不動産は法人保有)
  • 家族の収入として妻の所得は別管理

社員から登記簿を見られた場合

  • 同上、私の名前は出ない
  • 妻が法人を運営している、という体裁で完結する

ここまで設計しておけば、会社が「副業をしているのではないか」と疑って動いても、表面上は妻の事業として処理される。私は出資者として裏に回っているだけです。

ただ、これは「絶対にバレない」と保証できる話ではありません。あくまでバレるリスクを最小化する設計であって、SNSで自分の物件運営を顔出しで発信したり、社内で自慢話をしたりすれば、登記スキームとは別ルートで普通にバレます。

スキームの強さに頼りすぎず、行動レベルでも属性バレを避ける運用を続けるのが大事だと思っています。

業務執行しない社員にしておけば、その後もラク

実際に1年運用してみて気づいたメリットも書いておきます。

1. 経営判断のフットワークが軽い

議決権99%が私にあるので、物件購入・修繕方針・税理士の選び直しなど、重い意思決定をすべて私単独で動かせます。妻には事後報告で済む(事前に話し合いはしますが、決議権としては不要)。

2. 契約書の体裁がシンプル

物件の売買契約書・賃貸借契約書・保険契約書、すべて代表社員である妻一人の署名で済みます。私は同席して内容確認だけして、署名はしない。これは想像以上にラクです。

3. 妻にかかる負荷を経営判断から切り離せる

妻は普段、子どもの世話や家事で時間が取られています。法人の重い意思決定まで全部任せると、夫婦間の負荷バランスが崩れる。重い判断は私、対外的な体裁は妻——という役割分担にすることで、妻の負担は登記上の名義貸しと最低限の代表業務(重要書類の署名など)に留められます。

ここは設立前にちゃんと話し合っておくと、夫婦の関係性も含めて長く回ります。

注意点:「業務執行しない社員」でも責任は完全には消えない

最後に、リスクの話もちゃんと書いておきます。

業務執行しない社員という立ち位置でも、完全に責任から逃げられるわけではありません

具体的には、

  • 出資の範囲では責任を負う:合同会社の社員は有限責任なので、出資した範囲を超えた個人責任は原則として負わないが、出資金は事業のリスクにさらされる
  • 連帯保証は別問題:融資を受けるときに連帯保証人として求められれば、業務執行社員かどうかとは関係なく個人の保証責任が発生する(実際、私も連帯保証に入っている)
  • 税務上の実質判断:あまりに「実態は夫が動かしている」のが露骨だと、税務上は実質的な経営者として扱われる可能性がゼロではない

特に3つ目は、形式と実態の整合性が大事です。妻が代表として、契約書への署名や法人代表としての対外的な体裁——ここは妻が担います。一方で、信金訪問・税理士との打ち合わせ・物件選定の意思決定といった実務は私(夫)が中心に動かしています。

これは「100%の名義貸し」と紙一重ですが、私の場合、議決権99%・出資99%・連帯保証も自分側、と意思決定とリスクの所在は私側で揃えているので、税務上の実質判断としても整合します。代表社員としての形式は妻、経済実態は夫——この役割分担を曖昧にせず、ちゃんと整理しておくことが、後々の税務調査や融資審査で説明する材料になります。

まとめ:副業禁止の現実解は「業務執行しない社員」

副業禁止のサラリーマンが法人で不動産を持つとき、現実解として機能したのが、

  • 代表社員=妻(登記に名前が出る)
  • 業務執行社員=妻のみ(業務上の決裁権は妻に集約)
  • 業務執行しない社員=私(出資99%、議決権99%、登記簿には出ない)

という設計でした。

「妻名義」という言葉だけだと、ここまでの粒度が見えてきません。ネット記事の「妻名義」と、実際に司法書士と詰めた『業務執行しない社員』のスキームは、似て非なるものです。

これから副業禁止の状況で法人化を考えている方は、設立前に司法書士に「自分の名前を登記簿から外したい」とはっきり伝えてください。よほど特殊な業種でない限り、合同会社ならこの設計は普通に組めます。

法人化のタイミングそのものについては「サラリーマン大家が法人化するベストタイミング」に書きました。法人形態の比較(株式会社 vs 合同会社)は「妻名義の合同会社で法人化した理由」に書いてあります。あわせて読んでもらえると、副業禁止サラリーマンの法人スキームの全体像がつかみやすいと思います。


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さる

さる

副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中

30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。

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