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信金と月1で会い続けたら変わったこと|融資だけじゃない信金との付き合い方
融資戦略

信金と月1で会い続けたら変わったこと|融資だけじゃない信金との付き合い方

副業禁止の会社員大家が、地元信金の担当者と月1で会い続けて1年。融資の通り方だけでなく、物件情報・地主繋がり・決算の見られ方が変わった実体験を書く。

副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目を持っている「さる」と申します。

法人を作って2棟目を買うまでに、5行8回断られて1年4ヶ月かかった話は別の記事に書きました。あの1年4ヶ月の中で、私が一番時間を割いていたのは、物件探しでも融資申込でもなく、地元信用金庫の担当者と月1で会い続けることでした。

正直、最初は「融資を通すための営業活動」のつもりで通っていました。しかし1年続けてみると、得られたものは融資の可否だけではありませんでした。物件情報の入り方、決算の見られ方、地主との接点、相談の精度。融資が下りる前から、信金との関係が私の不動産投資そのものを変えていたことに気づきました。

今回は、信金と月1で会い続けて何が変わったのか、私が具体的に何をやってきたのかを、副業禁止の会社員という前提込みで書きます。これから2棟目以降を狙うサラリーマン大家には、想像以上にコスパのいい時間の使い方だと思います。

なぜ信金を選んで月1で通うことにしたのか

最初に簡単に、なぜメガバンクや地銀ではなく信用金庫を選んだのかを書いておきます。

私が法人で2棟目を買おうと動き始めたとき、属性は以下のとおりでした。

  • 本業:会社員(副業禁止)
  • 法人:妻名義の合同会社、設立直後で決算実績ゼロ
  • 個人:築古戸建Bを保有中(CFは月1万程度)
  • 自己資金:そこまで潤沢ではない

この属性で正面からメガバンクや地銀を叩いても、相手にされない可能性が高い。実際、初期に1〜2行当てたメガ・地銀ではほぼ門前払いに近い扱いでした。一方、信金は地域密着で中小企業や個人事業主の融資が本業。設立したての法人にも一応話を聞いてくれる文化が残っています。

それなら、最初からエリアを絞って信金1本に決め、担当者と関係を作りに行ったほうが早い。そう判断したのが、月1訪問を始めた動機です。

ちなみに信金は支店ごとに営業エリアが決まっていて、自分の住所か物件所在地のどちらかが営業エリアに入っていないと付き合えないケースが多い。私は居住地を担当する支店にアポを入れて、最初の名刺交換からスタートしました。

月1で会うために何をやってきたか

「月1で会う」と言うと響きが軽いですが、ただ顔を出すだけでは続きません。担当者にとっても、何の用件もない訪問は時間の無駄になります。私は毎回必ず「持っていくもの」と「聞きたいこと」をセットで用意していました。

1. 物件のシミュレーション資料を必ず1〜2件持参する

毎月の訪問で一番効いたのは、実際に検討している(または検討した)物件のシミュレーションシートを持っていくことでした。

シートに書いていたのは大体これくらい。

  • 物件概要(築年・構造・戸数・所在エリアの粒度)
  • 売買価格・想定家賃・表面利回り・実質利回り
  • 想定融資条件(自己資金〇%、期間〇年、金利〇%)
  • 月CF・年CF・返済比率
  • 出口想定(積算・土地値・売却想定価格)

ポイントは、「この物件を融資お願いします」ではなく、「もしこの条件なら御行で扱える物件像でしょうか」と聞きにいくことです。買付前の段階で見せると、担当者も気軽に意見をくれます。

これを毎月続けると、担当者の頭の中に「この人はこういう物件を探している」「この属性で出せる金額感はこれくらい」というイメージが蓄積されていきます。後で本命物件を持ち込んだときに、ゼロから説明する手間が一気に省ける。これは想像以上に効きました。

2. 自分の決算・確定申告の状況を共有する

法人を作ったばかりの頃は決算がないので、**個人の確定申告書(直近3期分)**を最初の訪問で渡しました。法人ができてからは、決算が締まるたびに決算書をその月の訪問で持参。

「銀行に決算書を見せる」と聞くと身構える人もいますが、信金の担当者は決算を見るのが本業です。むしろ「この経費の計上は銀行受けが悪いから来期は気をつけたほうがいい」「この役員報酬の取り方は融資評価上マイナスです」といったフィードバックを、融資申込の前にもらえるのがでかい。

実際、私は1期目の決算で節税を効かせすぎたら次の融資が出にくくなることを、信金の担当者から先に教わって軌道修正しました。税理士は税金を最小化する立場、信金は決算を融資目線で見る立場。両方の意見を聞ける状態を作るのが、月1訪問の隠れた効能です(顧問税理士との付き合い方は「不動産投資で税理士は必要か」に書きました)。

3. 担当者の話を「聞く側」に徹する

これは精神論っぽく聞こえますが、実務的にも大事でした。

不動産投資家としていろいろ勉強していると、つい自分の知識や戦略を担当者に喋りたくなります。私も最初の数回はやってしまいました。しかし、担当者は本業として地域の融資案件を毎日見ている人。中途半端な投資家トークより、担当者の口から出てくる「最近この辺で売られた物件」「最近〇〇地域の評価が下がっている理由」のほうが、何倍も価値があります。

途中から、訪問の8割は担当者に喋ってもらう時間にしました。質問だけ用意して、後はメモを取り続ける。これが結果的に、後述する「物件情報・地主情報」が回ってくる状態を作りました。

月1訪問を1年続けて、実際に変わった3つのこと

ここからが本題です。月1×12回、合計12時間ほど信金に通った結果、実際に変わったことを正直に書きます。

変化1:本命物件の融資が「初対面じゃない状態」で始められる

5行8回断られた話に書いたとおり、最終的に2棟目の融資を出してくれたのは、まさにこの月1で通っていた信金でした。

申込のときに、担当者からこう言われたのを覚えています。

「さんざん物件見てきたから、この物件が御社にとって妥当かどうかは大体わかります」

これが、月1訪問を続けてきた最大のリターンです。普通、初対面の金融機関に法人決算1期目で持ち込んだ場合、まず法人と代表の信用を測るところから始まります。これに数週間〜数ヶ月かかるケースも珍しくない。

しかし月1で会い続けていると、信用調査のフェーズが事実上スキップされる。担当者がすでに代表(=妻、ですが私が同席して説明)の人柄・物件選定の癖・収支感覚を把握しているからです。本命物件の稟議は、純粋に物件の良し悪しだけで判断してもらえる状態になっていました。

変化2:信金から来る物件情報の「質」が分かる

信金と関係を作っていれば物件情報が降ってくるはず——通い始めた頃の私は、正直そう期待していました。1年通って分かった結論を先に書くと、信金から回ってくる物件情報と、不動産屋から回ってくる物件情報は、まったく質が違います

私の場合、本当に水面下の情報は懇意にしている不動産屋経由で入ってきます。レインズに上がる前、買付が入る前の段階で「こういう話がある」と教えてもらえるのは、業者ルート。

一方で、信金の担当者から出てくる物件情報の多くは、別の不動産屋がすでに動いている、業界では知れ渡っている案件でした。さらに言えば、買い手が付かずに残っている売れ残りの話が中心になりがち。融資の出口を探している側面もあるので、構造的にそうなるのだと思います。

最初は「信金が情報源になる」と勝手に期待していたので、ここは肩透かしを食らった部分です。でも1年通って分かったのは、信金に期待すべきは「物件情報の鮮度」ではなく、「持ち込んだ物件への即応性と評価」だということ。情報のスピード勝負は不動産屋に任せて、信金には買付前後のスピード稟議と物件評価を頼むのが正しい使い方でした。

ちなみに信金が物件をどう評価するかという生々しい話は、「銀行に売買投資には融資しないと言われた話」に書いています。土地値以下の物件を持ち込んで断られた経緯から、銀行と投資家の評価軸の違いが見えてきます。

副業禁止の会社員という属性上、私は平日の昼間に動けません。スピード勝負ではプロの専業大家に勝てないので、業者ルートで掴んだ情報を信金で素早く融資判定にかけるのが、月1訪問のリアルな価値の置き所だと思っています。

変化3:地主ルートの「存在」だけは見えてくる

これは期待しすぎないでほしい話として書きます。

信金の顧客には地元の地主が一定数いるそうです。代々の土地を持っていて、信金で借入や運用相談をしているような層。担当者と雑談していると、**「相続で土地を持て余している地主さんが、ぽつぽつ売りに出されることもありますよ」**といった話を聞くことがあります。

ただし正直に書くと、私自身はまだ地主紹介の物件情報を1件も受け取っていません。あくまで「そういう経路がこの世界には存在するらしい」と担当者の口から聞いた程度。噂話のレベルを超えていないのが現状です。

それでも書いておく理由は、この経路の入口に立てるのは月1で通っている人だけだからです。1〜2回名刺交換しただけの大家には、こういう話題自体が出てこない。私のように1年通って、ようやく担当者の口がほんの少し緩んで「こういう世界もありますよ」と聞かせてもらえる段階。実際に物件が回ってくるのは、ここからさらに何年かかるか分かりません。

過剰な期待は禁物ですが、**「数年単位で関係を作れば、専業大家でも届きにくい情報網の端っこに触れられる可能性はある」**くらいの温度感では、月1訪問は意味があると思っています。

月1訪問が向いている人・向いていない人

ここまでメリットを書きましたが、すべてのサラリーマン大家に勧めるわけではありません。月1訪問が機能するための前提条件を正直に書きます。

向いている人

  • 本業を続けながら、5年以上のスパンで拡大する気がある
  • 居住地と物件エリアが離れすぎていない(信金の営業エリア内に何かしらある)
  • 平日昼間に1時間×月1回、有給や時間休で動ける
  • すでに1棟(または1戸)保有していて「次」を真剣に探している

向いていない人

  • 1年以内に短期転売で利益を出したい
  • 全国の高利回り物件を機動的に買い漁りたい
  • 地元エリアにこだわりがない
  • 1棟目すらまだなく、属性だけで勝負したい

特に短期転売や全国機動戦をやりたい人には、信金との月1関係構築は完全にオーバースペックです。私の戦略は「副業禁止のサラリーマンが本業を続けながら、地元エリアで地味に拡大する」というもの。これに合致する人にしか、月1訪問は向きません。

まとめ:信金との関係は「融資商品」ではなく「インフラ」

最後にひとことで結論を書きます。

信金と月1で会い続けるのは、融資という商品を買いに行く行為ではなく、自分の不動産投資のインフラを整える行為だと思っています。

融資が出る・出ないは結果論で、関係を作っている間に得られる「決算の見られ方」「持ち込み物件への即応性」「金融機関側から見た自分の属性の輪郭」のほうが、長期で見れば価値が大きい。1年通って実感した本音です。

物件の鮮度の高い情報は不動産屋から、物件の融資判定スピードと評価軸は信金から——情報源を二系統に分けて、それぞれの強みを使い分ける。これが私のたどり着いた現時点の答えです。

副業禁止のサラリーマン大家は、専業の人と同じ土俵では戦えません。だからこそ、専業ではアクセスしにくい場所(=地元金融機関の担当者)に時間を投下するのが、私のような立場の数少ない正攻法だと思っています。

これから2棟目を狙う方は、物件サイトを毎日眺めるのと同じくらいの熱量で、最寄り信金の支店に名刺を取りに行くことをおすすめします。物件は1日で出会えますが、関係は1年かけないと作れません。

次の融資が出るかどうかは、来月の物件情報で決まるのではなく、今月の訪問で決まる。私はそう思って、今も月1で信金に通い続けています。

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さる

さる

副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中

30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。

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