隣県の物件を3棟見送った理由|1棟目は地元でやると決めた話
法人で2棟目を狙っていた頃、隣県のアパートを3棟検討して全部契約解除になりました。確定申告タイミングで売主が待てなかった話、エリア違いで融資ルートが詰まった話、そして1棟目は地元でやると決めた判断軸を書きます。
副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目を持っている「さる」と申します。
法人で2棟目を狙い始めた頃、私は隣県のアパートを3棟検討して、全部契約解除になっています。1棟は売主側の事情で、もう1棟は融資エリアの壁で、3棟目は別の理由で。
合計3棟、すべて売買契約まで進んだうえで白紙に戻った。「法人融資を5行8回断られて通った話」で「3物件契約解除」と書いたのは、まさにこの隣県の3棟のことです。
この経験で、私は**「1棟目は地元でやる」**という判断軸にたどり着きました。なぜ隣県を当てに行ったのか、なぜすべて契約解除になったのか、そして地元に戻して何が変わったのか。サラリーマン大家のエリア戦略の話として、ありのままに書きます。
結論:エリアを広げる前に、地元で1棟回せ
先に結論を書いておきます。
法人化したばかりの大家が**「物件はどこのエリアで買うべきか」で迷うなら、答えは自分の住んでいる地方都市の中**です。1棟目から越境して隣県・遠方を狙うのは、ハードルがいくつも重なって普通に詰みます。
私は3棟の契約解除を経験して、地元エリアに絞り直したら1棟通った。これは偶然ではなくて、地元エリアでなければ越えられない壁がいくつもあったからだと、いまは整理できています。
それを順番に書きます。
なぜ隣県の物件を当てに行ったのか
最初に、なぜ隣県を狙ったのかを正直に書いておきます。
法人を作って2棟目を探し始めた頃、私の地元の地方都市で出てくる物件は、利回りが低い・玉が少ない・築古アパートの良物件は競争が激しいという状態でした。検索条件を広げないと、そもそも候補が出てこない。
そこで隣県に目を向けました。隣県の地方都市なら、
- 自分の地元では出てこない築古アパートが定期的に出てくる
- 利回りが1〜2ポイント高い物件もある
- 競争相手が少ない(地元の専業大家が押さえに来ない物件)
という構造があったんです。物件の数字だけ見れば、隣県のほうが有利に見えた。
「エリアを広げれば玉も増える」——これは正しい。ただ、玉が増えるのと買えるのは別の話だった、というのを、3棟の契約解除で叩き込まれることになります。
1棟目(隣県):確定申告タイミングで売主が待てず契約解除
最初に当てた隣県の物件は、築古のアパートでした。
物件としての利回り・立地・スペック、どれも私の判断軸(「不動産投資で失敗しない物件選びの軸」)に合致していて、買付を入れて指値が通り、売買契約まで進みました。手付金も振り込んだ。
ここで詰まったのが、確定申告のタイミングでした。
法人で融資を申し込むときに必要な書類のなかに、最新の確定申告書類があります。私は会社員ですが、個人で1棟目(戸建)を持っているので、不動産所得の確定申告を毎年出している。法人融資の審査では、この個人の確定申告書類も重要な参考資料になります。
問題は、当時の時期がちょうど確定申告書の更新タイミングだったこと。前年分の申告書はあるが、銀行が見たいのは「直近の所得」。私のなかでも数字が固まっていなくて、銀行に出せる資料がブレた。
並行して、金融機関の稟議は時間がかかります。本部審査まで持ち上がっていく間に、**売主側が「もう待てない」**と申し出てきた。
「他の買い手が現れたので、決済を急いでもらわないと困ります」
不動産売買契約には融資特約という条項があって、融資が下りなかった場合は手付金を返してもらって白紙に戻せます。ただ、売主側の都合で契約解除を申し入れられるケースもある。今回はそれでした。
私としては「あと1ヶ月待ってくれれば確定申告書も新しくなって、銀行の稟議も進む」状況だったのですが、売主はそれを待てなかった。手付金は返ってきましたが、ここまで進めた物件が手元から消えたショックは、いまでも覚えています。
学びとしては、融資側の準備(確定申告書類のタイミング)と売主側のスケジュールが噛み合わない物件は、契約まで進めるべきじゃなかったということ。事前にこの2つの時系列を擦り合わせていれば、買付の段階で見送れた話でした。
2棟目(隣県):エリア違いで融資ルートが詰まった
次に当てた隣県の物件は、別のエリアでした。
ここでぶつかったのが、金融機関の融資エリアの壁です。
地方の信金・信用組合は、営業エリアが地理的に決まっている金融機関がほとんどです。自分の住んでいる地方都市の信金は、その地方都市と周辺の市町村が営業エリア。隣県は基本的に営業エリア外で、融資できない。
私が地元の信金に「隣県の物件で融資を頼めないか」と相談したとき、返ってきた答えは、
「申し訳ないですが、その物件のエリアは当行の営業エリア外なので、お取り扱いできません」
corporate-loan-rejected-8times で書いた「物件の所在エリアが当行の融資エリア外です」という断り文句は、まさにこの物件のことでした。
「では隣県の信金に持ち込めばいいのか」と思って、隣県の信金にも当たってみたのですが、**今度は『代表者の住所が当行の営業エリア外』**になる。法人代表(妻)の住所が地元の地方都市にあるので、隣県の信金からすると顧客対象外なんです。
地元の信金:物件が営業エリア外 隣県の信金:代表者が営業エリア外
このダブルバインドで、地方の中小金融機関ルートが完全に詰まった。残るのは地銀・メガバンクですが、こちらは設立直後の法人にはハードルが高い。結局、この物件も融資が組めずに契約解除になりました。
地方の物件で融資を組むなら、信金の営業エリアが決め手——これを身体で覚えた1件でした。
3棟目(隣県):物件評価で詰まった
3棟目の隣県物件は、別の理由で契約解除になりました。
物件としての利回りは出ていたのですが、銀行から見た積算評価が購入価格に対して足りないという指摘が入ったんです。具体的な数字は伏せますが、銀行の評価額が購入価格を大きく下回っていて、自己資金を相当積まないと融資が出ない構造でした。
担当者からは、
「この物件は積算に対して購入価格が乗りすぎています。融資をするなら、自己資金を○割は入れていただかないと厳しいです」
と返ってきました。
自己資金を増やすか、価格交渉でさらに指値を入れるか、見送るか。3択で迷って、最終的に見送りを選びました。隣県の物件に対してそこまでの自己資金を入れるなら、地元で同じ自己資金で別の物件を当てたほうが効率がいいと判断したからです。
ここで、3棟目の契約解除を機に、エリア戦略そのものを見直すことになりました。
隣県物件で見えた、エリアの壁
3棟の契約解除を通して、隣県の物件には地元では起きにくい構造的な壁がいくつもあると気づきました。
1. 融資ルートが半減する
地方の信金・信用組合の営業エリアは、自分の住んでいる地方都市の中。隣県の物件は対象外。主戦力の金融機関を最初から外すのは、不利すぎる。
2. 物件の現地確認コストが2倍以上になる
隣県の物件は、現地に行くだけで往復2〜3時間以上。1日の調査で1〜2件しか見られない。地元なら半日で5件回れる物件量を、隣県では1〜2件しか押さえられない。
3. 地元の業者ネットワークから外れる
懇意にしている地元の不動産業者は、地元の物件情報を回してくれます。隣県の業者とは関係がないので、自分から動かないと情報が来ない。地方の物件情報は業者ルートが命なので、これは致命的。
4. 売主・管理会社・職人がすべて現地ベース
物件購入後の運営でも、売主との交渉・管理会社との打ち合わせ・修繕職人の手配——すべて現地です。地元なら30分で行ける打ち合わせが、隣県だと半日仕事になる。
これらの壁は、利回りの差(1〜2ポイント)では埋められない運営コストとして残り続けます。
「地元でやる」と決めた理由
3棟の契約解除のあと、私は地元の地方都市に絞って物件を探し直しました。
地元エリアに絞った理由は3つ。
1. 信金の営業エリア内
地元の信金は、自分の住んでいる地方都市と周辺市町村が営業エリア。主戦力の金融機関を使えることが最大のメリット。実際、最後に通った2棟目の融資も、この地元の信金でした(「2棟目の不動産投資、融資はどう通したか実体験」)。
2. 業者ネットワークの中
懇意の不動産業者から、レインズに上がる前の物件情報が入ってくる。隣県だと「業界では知れ渡った売れ残り中心」になる情報の質が、地元なら水面下情報が混ざる。
3. 運営の継続性
5年・10年と長く保有するつもりなら、自分が現地に頻繁に行ける範囲で持つほうが結果的に良い運営になる。リフォーム・修繕・入居者対応・退去立ち会い、どれも現地仕事です。
地元エリアに絞り直してから当てた物件が、最終的に通った築古アパート10戸です。地元の信金で稟議が通って、業者経由で情報をもらって、自分の生活圏のなかで運営している。
地元でやることのデメリットも書いておく
フェアに、地元戦略のデメリットも書いておきます。
1. 玉が少ない
地元エリアに絞ると、定期的に出てくる物件の数は減る。隣県・全国を含めれば玉は増えるが、地元だけだと「待ち」の時間が長くなる。
2. 利回りが頭打ち
地元の地方都市の利回り相場が、自分のターゲット利回りと合わない場合、表面の数字では損をする。私の物件は表面10%ですが、これより高い利回りを狙うなら、隣県・遠方を当てに行く必要がある可能性。
3. 物件特定リスクが上がる
地元エリアに集中すると、自分の物件が同業者・知人に特定されるリスクが上がります。SNSで運営の話をしていれば、「ああ、あの辺の物件か」と推測される範囲が狭まる。属性バレ防止(「副業禁止でも不動産投資がバレない理由」)の運用がより重要になります。
これらのデメリットを承知のうえで、私は地元戦略を選びました。1棟目で重要なのは、利回りの最大化ではなく、運営の継続性——ここが私の判断軸です。
まとめ:エリア戦略は1棟目で決まる
不動産投資の本やブログで「エリア戦略」が語られるとき、「どこを買うか」が論点になりがちです。でも、私が3棟の契約解除を経験して気づいたのは、「どこから買うか」——つまり1棟目の場所が、その後の戦略をすべて決めるという事実でした。
1棟目を地元で買うと:
- 地元の信金との関係が始まる
- 地元の業者ネットワークに入る
- 運営の感覚が地元仕様で身につく
- 2棟目以降も地元でスムーズに動ける
1棟目を遠方で買うと:
- 遠方の信金との関係が始まる(が、自分の住所が外れる)
- 遠方の業者と新規で関係を作り直す必要
- 運営コストが2〜3倍に膨らむ
- 2棟目以降も同じ遠方エリアで縛られる
どちらが正しいかではなくて、1棟目で決めた方向性が、その後5年・10年の動きを規定する。これがエリア戦略のリアルな話です。
私自身は、3棟の契約解除を経て地元戦略に絞ったいま、この判断は正しかったと感じています。隣県のアパートを諦めた手付金の戻りと交通費は、勉強代として高くついた。でも、「地元でやる」という軸を1年4ヶ月かけて決めたことが、長期で見ればいちばんのリターンだったと思っています。
これから1棟目を探している方は、自分の住んでいる地方都市の中で1棟目を仕込めるかを、最初に問い直してみてください。それが現実的に難しい状況なら、エリアを広げる前に、まず自分の足元の地方都市の物件情報を集める動きから始めるのがいい。
法人化のタイミングは「サラリーマン大家が法人化するベストタイミング」、融資戦略は「信金と月1で会い続けたら変わったこと」、物件選定の判断軸は「不動産投資で失敗しない物件選びの軸」に書いてあります。あわせて読んでもらえると、地方の地方都市で2棟目を狙う動き方の全体像が見えてくると思います。
地元エリアの物件情報を集めたい方へ
地元の地方都市で物件を探すなら、地元の不動産業者との関係構築が鍵になります。最初の1社を見つけるのが難しい段階では、複数の不動産投資会社から一括で資料を取り寄せて、自分の検討エリアに対応している会社を絞り込むのが効率的です。
複数社から無料で資料が届くOh!Ya(オーヤ)の一括資料請求は、最初の比較材料として使いやすい。私自身も、検討エリアを地元に絞り直すときに、このルートで業者の温度感を確認しました。
不動産投資を体系的に学びたい方へ
エリア戦略・融資ルート・物件選定を独学で組むのは、地方の中小金融機関を相手にするときほど難しい論点が多いです。ファイナンシャルアカデミーの不動産投資スクールの無料体験セミナーから始めれば、地元・遠方の両方の戦略を体系的に整理できます。
PR
勝つための不動産投資ドットコム
あなたの属性・目的に合った不動産投資会社を無料で紹介。30年後も信頼できる優良企業だけを厳選。無料面談から始められる。
自分に合った不動産会社を無料で紹介してもらう →さる
副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中
30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。
プロフィールを詳しく見る →あわせて読みたい
読者の方へ
融資・法人化で迷ったら、まずは記事をブックマークしてください
このブログは「2棟目で詰まる大家」の悩みを実体験ベースで解決するために運営しています。 新しい記事は随時追加。次の一手で迷わないために、ぜひ参考にしてください。