業者が群がる物件は素人には重い|契約後に流した戸建Aと紹介料200万の話
大家デビューを目指して戸建Aを1,000万円で契約した直後、業者から買いたいと打診が来た。10社にぶつけて紹介料200万円を取った経緯と、業者が群がる物件は素人には重いという学びを書きます。
副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目を持っている「さる」と申します。
私は今、個人で戸建てを1棟、法人で木造アパートを1棟運営しています。ただ、この2棟以外に「あったかもしれない1棟目」が存在します。それが今日書く戸建Aです。
戸建Aは私が大家デビューするはずの物件でした。売買契約まで結んで、手付金50万円も払った。なのに私は一度も所有権を持たず、登記にも私の名前は出ていません。代わりに残ったのは、紹介料として法人口座に振り込まれた200万円でした。
「これは何の話なのか」と読者の方は思うはずです。順を追って書きます。
大家デビューのつもりで動いていた頃
不動産投資を始めると決めて最初に動き始めた時期、私はまだ法人を持っていませんでした。1棟目は個人で、現金多めの低リスクで入ろう。そう決めて、地方都市の中古戸建てを中心に物件を見ていました。
そこで出会ったのが戸建Aでした。
- 価格:1,000万円
- 築年数:かなり古い(築40年級)
- 立地:大型商業施設のすぐ近く
- 状態:内装は要リフォーム、残置物が大量に残ったまま
価格は低い、立地は強い。利回りも机上では悪くない。素人目には「これでデビューできるかも」と思えた物件でした。私はそのまま売買契約を結び、手付金50万円を支払って契約者になりました。
ここまでは、よくある「初心者が築古戸建てに突っ込む」流れです。実際、築古戸建ては低価格で参入しやすく、現金で買えば破綻リスクも限定的なので、不動産投資のスタートとしては王道のひとつです。築古アパートの利回り感覚については「築古木造アパートの利回り10%は本当に儲かるのか」にも書きました。
契約直後、仲介業者から打診が来た
契約書にハンコを押して、私が「さあリフォーム計画を立てるぞ」とエクセルを開いた頃、仲介業者から1本の電話が来ました。
「実は同業の業者からも、この物件を買いたいという話が来ている。値段次第では、譲ってもらえないか」
最初は意味がよく分からなかった。私はすでに買主として契約している。なぜ業者が同じ物件を欲しがるのか、なぜ私に話が回ってくるのか。
仲介業者の説明はシンプルでした。売主は私との契約があるので動けない。だが、私が契約を解除して同じ物件を業者に売れば、業者は喜んで買う。私には謝礼として差額の一部が入る。
最初に提示された業者の希望価格は、たしか1,150万円前後だったと思います。私の契約額が1,000万円ですから、差額は150万円。手付金50万円は戻ってくる前提で、150万円のうちいくらかが私に入る。
この瞬間、私の頭の中は「リフォーム計画」から「需要があるなら、もう少し競らせられないか」に切り替わりました。
10社にぶつけて1,250万円まで持っていった
仲介業者には、こう頼みました。
「興味がある業者がいるなら、他にも当たってもらえないか。条件のいいところを選びたい」
仲介業者も悪い顔はしなかった。彼らからすれば、誰が最終的な買主になっても仲介手数料は発生する。むしろ業者の競争で価格が上がれば、自分たちの手数料も上がる構造です。
結果、最終的に10社ほどに情報を流して、一番条件のいい業者で1,250万円で確定しました。
数字を整理するとこうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 私の契約額 | 1,000万円 |
| 業者の最終提示額 | 約1,250万円 |
| 差額 | 約250万円 |
| 仲介手数料等を引いた手取り | 約200万円 |
「素人がたまたま得した話」ではなく、仲介業者を巻き込んで業者を競らせた結果としての200万円です。ここは記事を読んでくれている同じ立場の方に、ちゃんと伝えておきたい。需要があると分かった瞬間に動かないと、この差は出ません。
なぜ業者の話を受けたのか
正直に書きます。「ラッキー、200万円もらえる」だけで決めたわけではありません。
戸建Aは立地は強いが、築40年級で内装フル改装が必要、残置物が大量に残っていました。私はこの時点で大家経験ゼロ、リフォーム業者の手配もしたことがない、残置物処分の相場感もない。完全に素人でした。
業者が群がるということは、業者にとってはおいしい物件です。でもそれは、業者がリフォームと残置物処分を内製でこなせるから安く作れるという前提があってのことです。私が同じことをやろうとしたら、見積もりを取るだけで何ヶ月もかかったでしょうし、相場の倍を吹っかけられても気づけなかったはずです。
業者目線で見て「おいしい」物件は、素人目線で見ると「重い」。これは、後に何棟か検討する中で確信に変わった感覚です。
手付解除+紹介料スキームの実務
契約上の処理は、仲介業者に組み立ててもらいました。
- 私と売主の売買契約を手付解除(手付金50万円は私に戻る)
- 売主と業者で改めて売買契約(1,250万円)
- 仲介業者から私へ紹介料として200万円を支払い
私は登記簿に名前が載らず、所有権も持たず、ただ「業者を連れてきた紹介者」として手数料を受け取った構造です。短期譲渡所得の問題も発生しません。
ただし、個人で200万円を雑所得として受け取ると、本業の給与と合算されてかなり持っていかれます。本業年収のレンジによっては所得税・住民税で4割近く飛ぶ計算になる。手元には120万円弱しか残らないことになります。
この時点で私は、家族と税理士に相談して「法人を作って、法人口座で受け取ろう」という判断をしました。
紹介料を受け取るために法人を作った
このときに設立したのが、いま2棟目アパートを所有している妻名義の合同会社です。
- 設立形態:合同会社(コストと運営負担で選んだ。理由は「会社員大家が合同会社を選んだ理由」に書いた)
- 代表:妻
- 設立目的:当面は紹介料の受け皿、中期的には不動産賃貸業
- 受け取った200万円は法人で売上計上、決算でも正規に処理
法人化のタイミングは一般的に「2棟目を買うと決めたとき」と言われますし、私自身もその主張は「サラリーマン大家が法人化するベストタイミングはいつか」で書いています。ただ、現実の流れとしては、戸建A紹介料の200万円が法人を作る最初のきっかけになり、その法人で後にアパートを買い増したのが本当の経緯です。
副業禁止の会社員が妻名義法人で動く具体的な仕組みは「業務執行しない社員で登記に名前が出ない仕組み」にまとめてあります。
この経験から得た学び
戸建Aの一件で、私が腹落ちしたのは2つです。
学び1:業者が群がる物件は素人には重い
業者が即決で1,250万円まで出すというのは、業者から見たら最低でも1,500万〜1,700万円で出口が取れる物件だったということです。リフォーム費200万円〜300万円、残置物処分20万円〜50万円、利益200万円以上。これを内製でこなせる業者だからこそ成り立つ計算です。
私が同じ物件を持っていても、外注の積み上げで利益はほぼ消えるか、下手すると赤字になっていた可能性が高い。「業者が欲しがる物件だ=得した気分」ではなく、「業者じゃないと回せない物件だ=身の丈に合わない」と読み替えるのが正解です。
学び2:立地は正義、土地の価値と広さは強い
戸建Aは築古でボロボロでしたが、大型商業施設の近くという立地ひとつで、業者が10社単位で動く物件になりました。
不動産は「上物」よりも「土地の価値」と「広さ」がキャッシュを呼びます。建物は時間とともに価値が下がるが、立地は基本的に下がりにくい(むしろ商業施設の集積で上がることもある)。物件選定の軸として、立地と土地値は1番上に置いて損はありません。
逆に言うと、地元の物件にこだわって立地で妥協するのも危険です。私が地元1棟目にこだわった話は「隣県の物件を3棟見送った理由|1棟目は地元でやると決めた話」に書きましたが、そこでも「立地が弱い物件には絶対手を出さない」を前提条件にしています。
それでもデビュー前に動いてよかったか
正直に言えば、戸建Aで大家デビューしていたら、リフォームと残置物で半年以上沼にハマっていたはずです。1棟目はとにかく回せる物件で、運営の感覚を掴むことが何より大事。重い物件で消耗していたら、いまの2棟目アパートまでは辿り着けなかったかもしれない。
そして、戸建Aの200万円が無ければ、法人を作る費用も心理的なハードルも、もう少し残っていたはずです。結果的に、戸建Aは私の運営履歴には残らなかったが、私の戦略の出発点には確実になっている。
これから1棟目を探す方には、こう伝えたいです。
- 業者が複数群がる物件は、自分の力量とリフォーム手配能力で本当に回せるか冷静に問う
- 立地と土地値を軸の1番上に置く、上物は2番目以降
- 契約後でも「流す」選択肢はある(紹介料スキームは合法・実務上もよくある)
物件選びの軸そのものについては、「不動産投資で失敗しないための物件選びの軸」にもう少し体系的にまとめました。
戸建Aが教えてくれたのは、結局は基本に戻る話です。立地と土地値、そして自分の力量に合った物件を選ぶこと。派手な利回りや珍しいスキームではなく、ここを外さなければ、地味でも続けられる規模になっていく。私はそう思っています。
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副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中
30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。
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