8,500万オーバーローンでも自己資金300万動いた|2棟目アパート取得の諸費用実額
物件価格8,300万のアパートに信金から8,500万のオーバーローン。差額200万は諸費用枠でしたが、それでも自己資金で約300万が動きました。仲介手数料・登記費用・火災保険など、2棟目取得時に実際にかかった諸費用の実額を内訳で公開します。
副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目を持っている「さる」と申します。
2棟目を検討しているサラリーマン大家からよく聞かれる質問のひとつに、こういうものがあります。
「オーバーローン引ければ、自己資金ゼロでいけるんですよね?」
結論から書きます。いけません。少なくとも私の場合、信金から物件価格8,300万円のアパートに対して8,500万円のオーバーローン融資を引きましたが、それでも自己資金で約300万円が動きました。
差額200万円は諸費用枠として融資側に組み込んでもらえました。でも諸費用総額は約500万円あって、200万円では収まらない。残り300万円は自分のキャッシュから出す必要があった、というのがリアルです。
今回は、2棟目アパート(築13年木造10戸・物件価格8,300万円)の取得時に実際にかかった諸費用を、覚えている範囲の実額で公開します。「オーバーローンを引いたから自己資金不要」と思っている人にとっては、現金準備量を見直す材料になると思います。
諸費用の実額内訳(決済時に動いた金額)
決済時に必要だった諸費用の内訳は、概ねこうでした。
| 項目 | 実額 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 約290万円 |
| 登録免許税+司法書士報酬 | 約120万円 |
| 火災保険料(地震保険込み・5年一括) | 約60〜70万円 |
| 印紙税(売買契約・金銭消費貸借契約) | 数万円(実額失念) |
| 融資事務手数料・保証料・固都税精算金など | 残り |
| 諸費用合計(決済時) | 約480〜500万円 |
このうち、信金からの融資で諸費用枠として乗せてもらえた金額が200万円。残り約280〜300万円は、決済日に自分の口座から動いた現金です。
加えて、不動産取得税は決済から3〜6ヶ月後に通知が来る仕組みで、私のアパートはまだ未請求の状態(取得は2026年)。一般的に物件価格や評価額・軽減措置によりますが、木造アパートで数十万円〜くらいの請求が後から来ます。諸費用は「決済時の500万円」だけで終わらない、という点も押さえておきたい。
仲介手数料は素直に上限290万円
最大の出費は仲介手数料の290万円です。物件価格8,300万円に対して上限計算(物件価格×3%+6万円+税)で出る金額そのもの。
「仲介手数料は値引き交渉できる」という話もたまに耳にしますが、私の場合は値引き交渉していません。信頼している不動産業者が紹介してくれた案件で、その後の管理も同じ業者にそのまま任せる前提だったので、ここで値切るより長期的な関係性を優先しました。管理会社を比較しなかった話は「管理会社は比較しなかった|売買業者にそのまま任せた判断」に書いた通りで、初動で関係性を作ることに振り切った判断です。
ちなみに仲介手数料は法人で買うなら経費に落ちるので、税務面でのインパクトはやや軽くなります。とはいえ決済時に290万円が動く事実は変わらず、現金準備の側ではここがいちばん重い。
登記関係120万円は内訳を見ておきたい
次に大きいのが登録免許税+司法書士報酬の合計120万円です。これは正確には2つに分かれます。
- 登録免許税(国税):所有権移転登記+抵当権設定登記
- 司法書士報酬:登記書類の作成と法務局への申請代行
8,500万円の融資を引く場合、抵当権設定登記の登録免許税だけでも約34万円(融資額×0.4%)かかります。所有権移転登記の登録免許税は固定資産評価額ベースで、土地・建物それぞれに発生。司法書士報酬は10〜20万円程度。これらを足すと120万円規模になります。
サラリーマン投資家が見落としがちなのが、抵当権設定登記の登録免許税が融資額連動だという点。8,500万円のオーバーローンを引いた瞬間に、抵当権設定の税金は「8,500万×0.4%=34万円」が確定します。フルローン・オーバーローンを使うほど、この部分は機械的に膨らみます。
火災保険5年一括で60〜70万円
3番目が火災保険料(地震保険込み)の5年一括で約60〜70万円。
なぜ5年一括かというと、**信金の融資条件として「融資期間中の火災保険必須・原則一括払い」**だったからです。月払いだと支払い忘れリスクがあるので、まとまった期間を一括で払い込んで、質権を設定する形が普通です。
地震保険を付けるかどうかは判断が分かれますが、私は付けました。地震保険なしで地震被害が出た場合、融資の残債だけが残るという最悪のシナリオを避けたかったためです。月CFが薄くても、地震1回で物件価値が消えて融資だけ残るのはあまりに割に合わない。
火災保険料60〜70万円は、月平均にすると約1〜1.2万円。家賃収入から差し引けば月CFを圧迫しますが、決済時に5年分前払いしてしまえば運用中の現金繰りはラクになります。
「オーバーローン200万円」の中身は諸費用枠
ここで本記事の核心です。8,500万円融資のうち、物件価格を超える200万円は、諸費用枠として組み込まれました。
オーバーローンと聞くと「物件価格より多く借りられて、自己資金不要」と誤解されがちですが、実際は**「諸費用までフルローンで賄ってくれる」**ことを指す場合がほとんどです。私の信金もこの形式で、200万円が諸費用に充当されています。
つまり、
融資総額 8,500万円
┣ 物件価格充当 8,300万円
┗ 諸費用充当 200万円
諸費用総額 約500万円
┣ 融資充当 200万円
┗ 自己資金 約300万円 ← ここが現金で動いた
という構造です。
「オーバーローンを引けば自己資金ゼロ」は神話で、諸費用枠が諸費用総額より小さい場合、不足分は自己資金で補うのが現実です。私の場合は不足分が約300万円。これに加えて、運転資金として最低でも家賃数ヶ月分(30〜50万円)は手元に残しておくべきだとされているので、2棟目を動かすには現金で350〜400万円程度の余力が必要だった、というのが実感です。
サラリーマン投資家が事前に準備すべき現金
これを2棟目検討中のサラリーマン読者向けに整理すると、こうなります。
- 諸費用は物件価格の約6%が目安(8,300万円の物件で約500万円)
- オーバーローンが出ても、諸費用全額をカバーするとは限らない(私の場合は200万円のみ)
- 不足分は決済時に自己資金で(私は約300万円)
- 不動産取得税は後日請求(数十万円・取得3〜6ヶ月後)
- 運転資金として家賃数ヶ月分の手元保有が望ましい(30〜50万円)
合計で400〜500万円規模の現金を、2棟目の決済前に準備しておく必要がある計算になります。
私自身、この金額を意識せずに2棟目を検討し始めて、信金の担当者に「諸費用ってどれくらい?」と聞いたときに数字感覚がズレていて焦った経験があります。自己資金がほぼゼロのまま「オーバーローン引けばいけるはず」で動くと、決済直前に資金不足で詰まる可能性が高い。これは事前に握っておくべき情報だと思っています。
なぜ信金は諸費用枠を200万円までしか出さなかったか
副次的な気づきとして、信金が諸費用枠を200万円までしか出さなかった理由もここで整理しておきます。
私の推測ですが、
- 物件評価額(積算評価)と融資額の乖離を抑えたい:オーバーローン幅が大きすぎると、物件売却時に融資残債が物件価値を超える「逆ザヤ」リスクが高まる
- 借主の自己資金確認:諸費用全額を融資で賄うと、借主が「自己資金ゼロ」状態で運用に入ることになる。これは銀行から見て運転資金リスクとして見える
- 法人1期目の与信制約:私は法人化直後で決算実績ゼロ。信金の審査でも、与信枠に上限があった可能性
特に最後の点は「法人融資5行8回断られて通った話」で書いた経緯と地続きで、法人1期目の与信は薄い。8,500万円が引けただけでも上出来で、諸費用フル融資まで通すには、もう1〜2期の決算実績が必要なレベルだったと思います。
まとめ:オーバーローン=自己資金ゼロは神話
副業禁止サラリーマンが2棟目アパートを狙うとき、自己資金準備の現実値は次の通りです。
- 諸費用総額:物件価格の約6%(8,300万円なら約500万円)
- オーバーローンの諸費用充当:私のケースでは200万円
- 決済時に必要な自己資金:約300万円
- 不動産取得税(後日):数十万円
- 運転資金:30〜50万円
- トータルで400〜500万円程度の現金を準備しておく
8,500万円のオーバーローンを引けても、この400〜500万円は別途必要です。「オーバーローン引けば手ぶらでいける」は半分本当で、半分嘘。手ぶらに見える状態は、銀行が手堅く諸費用部分を見てくれた結果に過ぎません。
2棟目を検討するなら、まずは**「自分の現金で400〜500万円動かせるか」**を確認することから始めるのがいいと思います。それが揃っていない段階で物件を探し始めても、決済直前に詰まって契約解除になるリスクがある。私が「法人融資5行8回断られて通った話」で経験した3物件契約解除の一因も、こういう資金面の準備不足を含んでいました。
数字を直視して、自分のフェーズを正しく把握する。2棟目に向けた最初の一歩としては、ここを押さえることが意外と効きます。
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