合同会社は融資を受けにくいのか|不動産投資で5行8回断られた理由を全部仕分けた
合同会社の融資は不利なのか。妻を社長にした合同会社で5行に8回断られた理由を仕分けたら、会社の形が理由の回はゼロ。効いたのは決算ゼロ・保証人・物件の数字でした。資本金20万円と追加書類も書きます。
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私は副業禁止の会社員です。自分の名前では法人の代表になれないので、妻を社長にした合同会社を作り、その法人で2棟目のアパートを持っています。
その2棟目の融資が通るまでに、1年4ヶ月かかりました。当たった金融機関は5行、断られた回数は8回です。
連敗している間は、「妻名義法人スキーム自体が間違いだったのか」と何度も思いました。
では実際のところ、合同会社という形は融資で不利だったのか。
「合同会社 融資」で検索すると、知名度や信用力が低いので不利と言われる、という説明がたくさん出てきます。書いているのは金融機関や起業支援の会社がほとんどで、実際に申し込んで断られた人の話は、私が探した範囲では見当たりませんでした。
そこでこの記事では、私が言われた8回の断り文句を、1つずつ「何が理由だったのか」で仕分けてみます。8回の経緯や当時の気持ちは「法人融資を5行8回断られて通った話」に書いたので、ここでは理由の仕分けだけに絞ります。金融機関の名前は出しません。
結論:断られた8回に「合同会社だから」は1回もなかった
先に結論を書いておきます。
5行8回のなかで、「合同会社だから」「株式会社なら」と言われたことは、1度もありません。合同会社であることについて、銀行から説明を求められたこともありませんでした。
合同会社として追加で出した書類は、定款と、社員(合同会社でいう出資者)が分かる書類の2つだけ。資本金20万円も、銀行から何か言われたことはなく、断られた理由になっていません。
では、何で断られていたのか。8回を理由ごとに仕分けると、こうなりました。
| 断られた理由 | 回数 |
|---|---|
| ① 会社の形(合同会社であること) | 0回 |
| ② できたばかりの会社(決算がない) | 1回 |
| ③ 代表が妻であること(保証人の形) | 1回 |
| ④ 物件と、私自身の数字 | 5回 |
| 理由をはっきり言われなかった | 1回 |
私の場合、足を引っ張っていたのは合同会社という形ではありませんでした。できたばかりで、代表が妻の会社だったこと。そして何より、物件と私の数字でした。
断られた理由を4つに仕分けた
8回の断り文句を、理由ごとに並べ直します。
① 会社の形(合同会社であること):0回
この記事でいちばん伝えたいのはここです。
8回のどれにも、会社の形を理由にした断りはありませんでした。面談の場で、合同会社であることの説明を求められたこともありません。
合同会社を選んだ理由を書いた「妻名義の合同会社で法人化した理由」では、「融資審査で合同会社だから減点のような扱いはなかった」と1行だけ触れました。8回を並べ直してみても、そのとおりでした。
② できたばかりの会社(決算ゼロ):1回
「決算が出ていないので、現状では判断材料が足りません」
信用金庫に1物件目を持ち込んだときに言われた言葉です。私は法人の決算1期目が終わる前から動いていたので、このとき決算書は1枚もありませんでした。
設立したばかりの法人は、金融機関から見ると決算ゼロ・売上ゼロです。しかも私の場合、代表の妻は物件を運営してきた経験者ではありません。個人なら年収や物件の実績で見てもらえるところが、法人だとほとんど効かなくなります。このあたりは「副業禁止の会社員が2棟目で法人化を決めた、迷ったときの判断軸3つ」に書きました。
決算書がないのは、会社の形の問題ではなく、会社の年齢の問題です。合同会社でも株式会社でも、作ったばかりなら決算書はありません。
③ 代表が妻(保証人の形):1回
「奥様が代表ですので、奥様が連帯保証に入っていただく形になります」
ある地銀で言われた言葉です。断り文句として数えたのはこの1回ですが、妻の連帯保証の話そのものは、複数の銀行で出ています。詳しくは次の見出しで書きます。
ここで問題になったのは「代表が誰か」で、会社の形ではありませんでした。
④ 物件と、私自身の数字:5回
残りのうち5回は、物件か、私の数字が理由でした。まず物件の側の4回です。
「物件の積算評価が出ません」(地銀)
「この物件は積算に対して購入価格が乗りすぎています」(信用金庫・2物件目)
「物件の所在エリアが当行の融資エリア外です」(地元の金融機関)
「返済を考慮するとキャッシュフローが薄い」(政府系)
積算評価は、土地と建物の値段から銀行が見積もる担保の価値のことです。最初の2つは値段と担保の価値が釣り合っていない、3つ目は場所、4つ目は家賃から返済を引いた手残りが少ない、という話です。
エリアで止まった物件のことは「隣県の物件を3棟見送った理由」に書きました。地元の金融機関と付き合うなら、法人の本店をどこに置くかも、この営業エリアの話に関わってきます(法人の登記住所と信金の営業エリア)。
残る1回は、私の側の数字です。ある地銀で、私の属性に対して借入が大きい、という趣旨のことを言われました。一方で、同じ給料を見て「この年収なら大丈夫」と言ってくれた銀行もありました。借入額とのバランスを問題にするかどうかは、銀行によって違いました。
この5回で銀行が見ていたのは、物件と数字です。合同会社を株式会社に変えたとしても、積算評価も、物件の場所も、キャッシュフローも変わりません。
理由をはっきり言われなかった1回
「融資はしたいのですが、稟議が通らないと思います」
これも地銀の担当者の言葉です。稟議(金融機関の中で、融資してよいかを決める手続き)が通らない、という言い方で、何が引っかかったのかはこの言葉からは分かりません。
ここに「合同会社だから」が隠れていた可能性は、ゼロとは言い切れません。ただ、合同会社であることを理由に挙げられたことは、この回も含めて1度もありませんでした。
合同会社の融資で、保証人は誰になったか
連帯保証とは、お金を借りた法人が返せなくなったとき、保証人が法人と同じ立場で返済の責任を負う約束のことです。法人の融資では、代表者が連帯保証に入るのが基本の形です。
私の法人は、妻が代表社員(合同会社の代表のこと)です。なので銀行の話は、自然と妻が連帯保証に入る方向に進みます。
ただ私は、妻に連帯保証で借金を背負わせたくありませんでした。何かあったときに責任を取るのは私であるべきだと思っていたからです。そこで、私が連帯保証に入る形にできないかを相談しました。返ってきた答えは、銀行によって違いました。
- 代表でない方の連帯保証は受けられない
- 代表と、代表でない方の双方が連帯保証に入る形なら可
どちらも、私一人の保証では受けてもらえないという答えです。妻の連帯保証は必須、という答えは複数の銀行から返ってきました。
最終的に通った信用金庫では、連帯保証は私一人という形で稟議が通りました。妻は代表社員として法人の窓口ですが、連帯保証には入っていません。
保証人の話も、会社の形とは関係がありませんでした。妻の会社なのに面談も書類も私が中心だった話は、「妻を社長にした会社の融資、銀行が見たのは夫の給料だった」にまとめています。
合同会社だから追加で出した書類は「定款」と「社員が分かる書類」だけ
合同会社として、法人の書類に加えて出したものは2つです。
- 定款(会社のルールを書いた書類)
- 社員(出資者)が誰なのかが分かる書類
合同会社の「社員」は従業員のことではなく、会社にお金を出した人のことです。私は業務を執行しない社員という立場なので、登記簿を見ても私の名前は出てきません(仕組みは「業務執行しない社員という手」に書きました)。登記簿だけを見ても、私がお金を出していることは分かりません。
借入について社員全員の同意書を出すように、といった求めはありませんでした。
株式会社で申し込んだことはないので比べられませんが、会社のルールやお金を出した人が分かる書類は、会社の形にかかわらず求められることが多いのではないかと思います。合同会社だから増えた書類は、この2つだけでした。
資本金20万円は、一度も話題にならなかった
「合同会社 融資 不利」で出てくる記事には、資本金が少ないと信用力が低く見られる、という説明も見かけます。
私の合同会社の資本金は20万円です。
この20万円について、銀行から何か言われたことはありません。8回の断り文句にも入っていません。
2棟目で借りたのは8,500万円です。資本金が20万円か200万円かで、8,500万円の返済を支える力が大きく変わるわけではありません。審査で出すように言われたのは、私の源泉徴収票と、個人で持っている戸建の確定申告書でした。
ちなみに資本金は会社に入れたお金で、設立にかかった費用(実費で15万円ほど)とは別です。設立費用の内訳は「妻名義の合同会社で法人化した理由」に載せています。
不利だったのは「合同会社」ではなく「できたばかりの会社」だった
最後に通ったのは、②と④で2回断られたのと同じ信用金庫に持ち込んだ3物件目でした。個人で1棟目の戸建を買うときにも、相談に行ったことのある先です。
3物件目を持ち込んだ時点で、最初のころと比べて変わっていたのは次の4つです。
- 個人で持っている1棟目(戸建)の返済実績が、1年以上積み上がっていた
- 法人の決算が1期回って、家賃収入と経費の数字が見える状態になっていた
- 自己資金を、当初の予定の倍以上に積み増す覚悟ができていた
- 何度も顔を出していたので、担当者がこちらの本気度を分かってくれていた
この4つのうち、会社の形を変えたものは1つもありません。合同会社のまま、株式会社に組み替えることもなく通っています。
決算が1期回ったことで、②の「決算がない」はなくなりました。最終的に決め手になったのは自己資金の積み増しで、最後は500万円を入れています。融資は8,500万円・金利2.5%・25年です。
信用金庫との付き合い方は「信金と月1で会い続けたら変わったこと」に、通った物件は「不動産投資の2棟目で融資が通らない」に書きました。
合同会社で不動産投資の融資を考えている人には、会社の形より先に気にすることがあると伝えたいです。決算を1期回すこと。自己資金をどこまで出せるか決めておくこと。そして代表が自分以外なら、誰が保証人になるのかを最初の相談で銀行に聞いておくこと。最後の1つは、私が何行も回ってからようやく分かったことです。
よくある質問
Q. 株式会社にしていれば、融資は通りやすかったですか?
株式会社で申し込んだことがないので、比べられません。言えるのは、5行8回で「合同会社だから」「株式会社なら」と言われたことは1度もなかった、ということです。合同会社を選んだ理由は「妻名義の合同会社で法人化した理由」に書いています。
Q. 合同会社の資本金は、いくらあれば融資を受けられますか?
いくらあれば大丈夫、という基準は私には分かりません。私は資本金20万円で、銀行から何か言われたことはなく、断られた理由にもなっていません。
Q. 代表が妻だと、融資で不利になりますか?
不利というより、当たれる金融機関が絞られる、という感覚です。代表が妻だと、連帯保証は妻に来るのが基本の形です。妻に保証を負わせたくない場合は、それを受けてくれる金融機関を探すことになります。詳しくは「妻を社長にしたあと、夫はどういう立場になるのか」と「不動産投資の法人化を妻名義にしたデメリット5つ」に書きました。
まとめ
合同会社は融資を受けにくいのか。私の5行8回で言えば、合同会社という形が理由で断られたことは1度もありませんでした。
- 「合同会社だから」「株式会社なら」と言われたことは0回。合同会社であることの説明を求められたこともない
- 合同会社として追加で出したのは、定款と社員(出資者)が分かる書類だけ
- 資本金20万円は話題にならず、断られた理由にもなっていない
- 断られた理由は、決算がない(1回)、保証人の形(1回)、物件と私の数字(5回)、理由不明(1回)
「合同会社でも融資は通る」とまでは書けません。書けるのは、私の場合に不利だったのは合同会社という形ではなく、できたばかりで代表が妻の会社だったこと、そして物件と私の数字だった、というところまでです。
自分で銀行を回って疲れたら、融資代行プロという選択肢
できたばかりの法人の融資は、断られる理由がばらばらに返ってきます。どこが本当の詰まりなのかを、本業を続けながら一人で切り分けるのは、会社員には時間的にきついところがあります。
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