法人融資を5行8回断られて通った話|3棟契約解除と決算1期の壁を越えるまで
妻名義法人で2棟目を狙い、5行に当たって合計8回断られた1年4ヶ月の実体験。うち3件は融資不調で契約解除。最後に通った1行と保証人問題、稟議の現実を書く。
副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目を持っている「さる」と申します。
法人を作って2棟目を買おうと動き出してから、実際に融資が通るまでに1年4ヶ月かかりました。
その間にアタックした金融機関は5行。断られた回数は合計8回。うち3物件は売買契約まで進んだあとに契約解除になっています。「契約解除」とさらっと書いていますが、手付金は返ってくるとはいえ、内見・指値交渉・契約書サインまで進めた物件を、融資不調で手放すあの感覚は、今思い出してもしんどい。
ネット記事を読んでいると「法人で融資を引いて拡大しました」という成功譚が並びます。でも実際の現場は、もっと泥臭い。私の場合は5行・8回・1年4ヶ月でした。
今回はその全体像を、できるだけ正直に書きます。法人で2棟目以降を狙っているサラリーマン大家の方の参考になれば。
結論:通ったのは「個人取引のあった信金」の3回目だった
先に結論を書いておきます。
5行に当たって、合計8回断られたあと、最終的に通ったのは最初に取引のあった信用金庫に持ち込んだ3物件目でした。
その信金は、個人で1棟目(戸建て)を買う前から取引のあった金融機関で、担当者と顔つなぎができていた相手です。新しい銀行を回って断られながら、信金にも別の物件で並行して当て続けていました。1物件目・2物件目はそれぞれ別の理由で否決され、3物件目で稟議(金融機関内部で融資の可否を審議する手続き)が通りました。
通った時の物件と融資条件は別の記事に詳しく書いています。
スペックだけ抜粋すると、地方都市の築13年木造アパート10戸、購入価格8,300万円、融資8,500万円・金利2.5%・25年。自己資金は最終的に500万円積みました。
この記事では、「その1行に通るまでに何があったか」を時系列で書いていきます。
なぜ法人設立直後から動いたのか
法人を設立したのは、決算1期目が終わる前です。普通は「決算が1期回ってから動け」と言われます。決算書がない法人は実績ゼロなので、銀行は判断材料を持てない。これは正論です。
ただ私は、それを承知のうえで決算前から動きました。理由は2つ。
ひとつは、良い物件は決算を待ってくれないから。地方都市の築古アパートで利回り10%前後のものは、決算待ちの1年で出てこなければ次の1年も出てこない可能性がある。物件と融資のタイミングはズレるのが普通で、待ち姿勢でいると永遠に2棟目は買えません。
もうひとつは、断られる経験そのものを積みに行きたかったから。何度か断られると、銀行が法人融資で何を見ているのかが分かってきます。物件評価のロジック、自己資金の見方、属性の捉え方。これらは机上で調べても分からない部分が多く、実際に当てて反応を見るのが一番早い。
結果として、決算が出る前に5行に当たって連戦連敗しました。これは予想通りで、想定内の連敗です。
当たった5行と、断られた8回の内訳
1年4ヶ月のうちに当たったのは、地銀2行・信用金庫1行・信用組合1行・日本政策金融公庫の合計5行です。すべて紹介経由か、信金は個人取引ありのルートで入りました。飛び込みはしていません。
物件はすべて内見済み。指値交渉までやって、いけそうだと判断したものだけ融資打診しています。
8回の断り文句で、覚えているものを並べると以下のようになります。
- 「物件の積算評価が出ません」(地銀)
- 「ご自身の属性に対して借入総額が大きい」(地銀)
- 「物件の所在エリアが当行の融資エリア外です」(信用組合)
- 「返済を考慮するとキャッシュフローが薄い」(公庫)
- 「奥様が代表ですので、奥様が連帯保証に入っていただく形になります」(地銀)
- 「融資はしたいのですが、稟議が通らないと思います」(地銀)
- 「決算が出ていないので、現状では判断材料が足りません」(信金・1物件目)
- 「この物件は積算に対して購入価格が乗りすぎています」(信金・2物件目)
物件評価、属性、エリア、収益性、保証人構成、決算、自己資金。落とされる理由は本当にバラバラで、「これさえ揃えれば通る」という単純な攻略法は存在しないことを、この8回で学びました。
3棟が契約解除になったときの気持ち
8回のうち、3物件は売買契約まで進んでから融資不調で契約解除になっています。
不動産の世界では、売買契約時に「融資特約」という条項を付けるのが一般的で、融資が下りなかった場合は手付金を返してもらって契約を白紙に戻せます。だから金銭的な大ダメージはありません。
ただ、心理的には別です。
物件を見つけて、現地に内見に行って、ボロを直すコストや空室の埋め方を頭の中でシミュレーションして、買付を入れて、指値が通って、売主と顔合わせをして、契約書にサインをして、印紙を貼って手付金を振り込んで——そこまで進めた物件を、融資特約で白紙に戻す。
3回目に契約解除になったとき、担当した銀行員からこう言われました。
「融資はしたいのですが、稟議が通らないと思います」
この言葉、銀行員の優しさと冷酷さが同居していて、いま思い出しても重い。「したい」と言いながら「通らない」と言う。要は「私の権限では無理です」という丁寧な断り文句なのですが、当時は「じゃあなぜ最初からそう言ってくれなかったのか」と思いました。
でもこれは銀行員のせいではなくて、稟議制度の構造的な話です。担当者が支店内で前向きでも、本部の審査でひっくり返ることはある。その判断が遅れると、こちらは契約日まで進んでしまう。
学びとしては、融資内諾を取らずに契約に進んではいけない。当たり前のように見えて、物件への熱量が上がっていると、これが守れなくなる。私は3回それをやってしまいました。
一番こたえたのは「保証人問題」だった
8回の中で、もっとも構造的に堪えたのが保証人問題です。
私の法人は妻が代表社員。私自身は副業禁止の会社員なので、表に立てません。これは妻名義法人スキームの大前提で、合同会社を作るときから織り込み済みでした(参考:妻名義の合同会社で法人化した理由)。
問題は、銀行が法人融資をするときに連帯保証人を求めることです。
ある地銀で、こう言われました。
「法人代表は奥様ですので、連帯保証は奥様にお願いすることになります」
これ、構造としてはまったく正しい。代表が連帯保証に立つのは法人融資の基本です。
ただ、私の家庭の事情として、妻に連帯保証で借金を背負わせたくなかった。万が一の事態が起きたとき、責任を取るのは私であるべきだと思っていたし、不動産投資という不確実性のあるビジネスのリスクを、家計を支えてくれている妻にだけ負わせるのは違うと感じていました。
「私が連帯保証に入る形にできませんか」と打診しましたが、ある銀行では「代表でない方の連帯保証は受けられない」と言われ、別の銀行では「代表と非代表の双方を連帯保証に入れる形なら可」という回答でした。後者のスキームでも、結局妻の連帯保証は外せない。
この壁を完全には越えられないまま、最終的に通った信金では、妻の連帯保証+私が連帯保証という形に落ち着きました。妻にもサインをしてもらいました。あの夜、契約書の連帯保証人欄に妻が名前を書く瞬間は、何回経験しても慣れないと思います。
副業禁止サラリーマンの妻名義法人スキームは、表面上はスマートに見えますが、融資の現場では配偶者にリスクを背負わせるという現実とセットになります。これは事前にちゃんと夫婦で話し合っておいた方がいい部分です。
なぜ最後の信金で通ったのか
5行を回り尽くして、振り出しに戻った気分で、最初の信金に三度目の相談に行きました。
正確にいうと、信金には3つの別の物件で打診をしています。1物件目は決算が出ていない時期で「判断材料が足りない」と言われ、2物件目は「積算評価に対して価格が乗りすぎ」と言われ、そして3物件目で通った。同じ物件で3回粘ったのではなく、物件を入れ替えながら3回当てた、というのが実態です。
3回目に当てた時点で、私は最初に行ったときと比べて以下が変わっていました。
- 個人で1棟目(戸建て)の返済実績が1年以上積み上がっていた
- 法人の決算が1期回って、数字(家賃収入と経費)が見える状態になっていた
- 自己資金を当初予定の倍以上に積み増す覚悟ができていた
- 何度も顔を出していたので、担当者がこちらの本気度を理解していた
最終的に決め手になったのは自己資金の積み増しです。当初は「できるだけフルローン寄りで」と考えていたのですが、5行に断られ続けるうちに「現金を多く入れた方が稟議が通る」というシンプルな事実を受け入れました。
500万円の自己資金は、私にとって決して軽い金額ではなかったのですが、ここを渋っていてはこの1年4ヶ月が無駄になる。担当者にも「ここまで自己資金を積みます」と伝えたうえで、本部稟議に上げてもらいました。
通ったあと、担当者にこう言われたのを覚えています。
「最初からこの自己資金額だったら、もう少し早く動けたかもしれません」
正論です。
1年4ヶ月で学んだ3つのこと
長い連敗を経て学んだことを3つだけ書いておきます。
1. 融資内諾を取ってから契約しろ
3物件を契約解除した最大の反省点。物件への熱量で前のめりになった瞬間、融資特約を「保険」だと思い込んで契約に進んでしまう。融資特約は使えるけれど、心理的・時間的コストはゼロではない。打診→内諾→契約の順番を絶対に崩さない。
2. 自己資金は「足りない」と思った額の倍積む
500万円で通った物件も、最初は「200万くらいでいけるかな」と踏んでいました。実際の融資現場では、自己資金1割は最低ライン、2割積んで初めて稟議の俎上に乗る感覚です。物件価格の2割を即金で出せない段階では、その物件には早すぎる。
3. 既存の関係を捨てて新規開拓するのは非効率
5行を回ったうち、最後に通ったのは最初に取引のあった信金です。新しい4行に行った時間とエネルギーは、結果的には遠回りでした。もちろん新規開拓で開いた窓口もあるので、無駄ではないのですが、既存取引のある金融機関を最後の砦として残しておくのは大事だと思います。
同じ立場の方へ
法人で2棟目を狙い始めると、最初の1行で通ることはほぼないと思った方がいいです。私の場合は5行・8回でしたが、もっと厳しい人もいるはずです。
連敗しているとき、心が折れます。「自分の属性では無理なのか」「妻名義法人スキーム自体が間違いだったのか」と何度も思いました。
ただ、振り返ってみると、断られた8回それぞれに学びがあって、最後に通った1行はその積み重ねの結果でした。1回目で通っていたら、たぶん今ほど融資のことを理解できていない。
連敗中の方は、回り続けてください。物件は次から次に出てきます。融資は1行通れば次が見える。
融資の選択肢を広げたい方へ
1棟目から2棟目に進むときに一番効くのは、情報源の数です。物件・融資・税務それぞれで複数の情報を持っていないと、銀行の言葉を相対化できません。
複数の不動産投資会社から一括で資料を取り寄せられるOh!Ya(オーヤ)は、比較の出発点として使いやすい。私自身も2棟目検討時に複数社から資料を取り、融資条件の温度感を相対化しました。
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副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中
30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。
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